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見えないものを想像する

2022年, インスタレーション(シングルチャンネルビデオ, 15分43秒, 小学生による粘土作品)

 

相手の気持ちを想像し、他者に寄り添うことは、社会生活の根幹を支える行為である。視覚的な情報(色や形、大きさや距離)が互いに異なるのは当然であり、だからこそ想像する力が人と人のあいだをつなぐ。

本作は、小学生による粘土作品と映像によるインスタレーションである。ワークショップ形式で行われた粘土作品の制作には、見える説明役と目隠しをした制作役の2人1組が参加している。説明役には「使ってはいけない言葉」が課され、お題をいかに伝えるかが試される。一方、制作役は視覚を閉ざされたまま、言葉だけを頼りに粘土をかたちづくっていく。完成した作品は、説明役によって名づけられ、タイトルだけが手がかりとなって後日展示空間で初めて見ながら探すことができる。

作品の中には、見えない状況でつくられたとは思えないほど明確な造形もあれば、曖昧でとらえどころがないものもある。そこには、空間把握の力、記憶された手の感覚、そしてペア同士の関係性が色濃く刻まれている。

誰がどの作品をつくったのか、どんなお題が与えられたのか、鑑賞者には明かされていない。ただし、残された手の痕跡や制作のプロセスを辿ることで、視覚に頼らない、想像する行為そのものを体験することができる。
制作に正解はない。確かでないものを他者とともに探る、その行為自体が表現の出発点となる。

撮影:池添俊

協力:木更津第一小学校のみなさん、ボランティアスタッフ

*ワークショップの記録映像全編(15分43秒)は教育目的で閲覧できますので、別途ご連絡ください。

ワークショップの成果発表展「木更津みなとぐちアートプロジェクト2022 ミナート」(2022年)展示風景

(会場:木更津会館、千葉)

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